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コラム

サイゴン、路上の靴職人


 昼、白いBMWがホーチミン市中心部のLe Thanh Ton通りとNam Ky Khoi Nghia通りの角に来たかと思うと、左にウインカーを出し、歩道に寄せた。

 まるで約束があったかのように、少し開けた窓から、車内の中年女性はPhuさんから靴が入った袋を受け取り、満足そうな笑顔で礼を言った「どうもありがとう」。

 その数百万ドンの靴は、10万ドン(約5ドル)にも届かぬ値段で底が取り替えられ、新品のように蘇った。

■修理ひとすじ25年

 1区Le Thanh Ton通りのRexホテルからBen Thanh市場まで、1キロにも満たないこの場所には、路上の修理業者を含め、靴屋が20軒あまりある。「靴屋街」とも呼ばれるこの界隈は、有名ガイドブックにも記載されるほどで、1975年以前から続けている職人もいれば、いま必死で腕を磨いている新人もいる。

 1988年、当時20歳だったホーチミン市生まれのNguyen Duc Phuさんは、工員を辞めて靴の修理職人になろうと決めた。親戚の紹介もあってLe Thanh Ton通りの有名な靴屋『Lac Long』に弟子入りすることができた。今年45歳になる彼は、路上の靴修理人として生計を立て、小学3年生と幼稚園の2人の子供を育てている。

 「両親と一緒に住んで、何とかやってる。カミさんは保険会社で働いている。物価がどんどん上がるこんな時代に、共働きじゃなきゃ、子供たちを育てられないよ」表情に不安の色が浮かぶが、仕事の話しになると、破顔一笑、話が止まらない。

 以前は、「Lac Long」の店の前で仕事をしていたのだが、ビル建設で靴屋も立退きとなり、修理職人は新しい場所を探さなければならなくなった。Phuさんは、「Taka Plaza」の表でコンセントがあり、欧米人の夫婦が経営するレストランと衣料品店のあいだに、幸運にも広さ2m2の場所を見つけることができた。

■靴で人はわからない

 彼の1日は、朝8時に始まる。Binh Thanh区Phan Van Han通りの自宅から、自転車で15分ほどかけてLe Thanh Ton通りまで。靴を出して店開きすると、修理が終わった靴を取りに来る客に返却し、ショップや個人客からの新しい仕事を受ける。それをひたすら繰り返し、午後5時まで。1日の収入は15万ドン(約7.5ドル)ほど、飲食代5万ドン(約2.5ドル)を引いたその残りを、子供の食事や学費に貯めている。

 「雨の日はお客さんも少ないけど、長くやってるんでね。おかげさまで、少なくても1日2~3足は仕事がある。ゼロって日はないね。観光客なんかで、気に入ってくれてチップが貰えることもある。いちばん忙しいのは、テト(旧正月)の頃。家に持ち帰って夜なべするほどだよ」とPhuさんが語る。

 預けられた靴を見ると、安い品もあれば、古い品もあり、偽造品もあれば、数百万ドンするブランド品もある。

 靴を見れば、お金持ちかどうかわかりますね――この問いに彼は、「それが、わからないんだよね。お金持ちでも、オンボロの靴を修理に持ち込んでくる人もいる。足に合って、歩きやすいとか、もらったもので、思い出があるとか。まぁ、古いとか、新しいとか、それはさておいて、修理に持ってくるっていうことは、その靴を大切にしてるってことだから、その気持ちを理解して、しっかり仕事をしないと。満足してくれれば、また来てくれるし」とPhuさんが笑顔で答えた。

 お客さんを理解して、信頼を得る。簡単そうだが、それは誰もができるものではない。

 「毎日道路に座って、服は泥だらけ。奇麗な服を着て、オフィスに向かう人を見て、仕事を恨んだようなことは?」

 「ないね。羨ましいとか、あんまり思わないんだよ。生活はみなそれぞれだから。ただ子供のために、ちゃんと稼げれば十分だよ。この仕事は細やかさが求められて、リラックスしなきゃ奇麗に修理できないんだ」。しかし「修理業者は増える一方。競争もあるのでは?」と食い下がると、「ないんだよ。皆が、自分の仕事、自分のお客さんに集中するだけ」と話した。

 大きな靴屋やオンラインショップも、客の依頼を受けて、サイズや中敷、靴底の調整などを頼んでくる。数百万ドンの靴を修理に預ける客もいる。みな、熱心な修理人の腕を、信じているのだ。

 自作した、木製の道具箱はまだ3カ月しか使っていないが。路上での陽射しや雨風に、もうボロボロだ。その傍に、笑顔で客を迎える職人がいる。

■一日終わりの多少の幸せ
 4時半――ラッシュアワーが始まり、道は混雑し始めた。

 観光客のイギリス人男性と、セクシーな装いの越僑の恋人が、Phuさんにブランドの靴の修理を依頼した。Phuさんは客に椅子を勧め、修理を始めた。
20分後――客は修理を終えた靴を受け取り、満足したようだ。「毎日ここに座ってるの? もう友達だね。近くのホテルに泊まってるんだ。毎日、この辺をブラブラしているよ」と男性は喜んで、靴修理人と握手を交わした。

 街に灯りがともり始めた。Phuさんは道具を片付けて、自転車にまたがった。

(Sai Gon Tiep Thi)


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(2013/11/23 01:41更新)

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